ニッケビクターファッション NO.9 ニッケ・ビクター
ファッション NO.9
秋冬のデザイン集
日本ヴォーグ社 発行
1962年


各種編物作品にそれぞれ、山口洋子さんの詩が添えられているという、素晴らしく、またとてもめずらしい本です。



 
虹 を よ ぶ 朝
  山 口 洋 子


生れたての朝

あたらしい虹をよぶ

すきとほった声が帯になって

樹から樹へわたっていく

街 角 に 映 え る


若者たちは街を泳ぐ

風とひかりを

キラキラするエネルギーに変える

魔術師のように−−



太 陽 を い っ ぱ い に


若いんだもん

ムシャムシャ喰べて、笑って

どこまでも駈けて行こう

太陽に向って踊れ、

うたえ!

木 陰 の し あ わ せ


仲良しはいつもいっしょ

さっき喰べたお菓子のこと

のぞいたウインドのニューモード

すてきな彼の噂、それから……。


たそがれの森


そこであなたは
ひとりの妖精になるでしょう

もうすぐあなたを探しにくる冒険好きな騎士のために……。
シックなあなたの夜


彼は 仔犬が好きなの

それからコーヒーと

でもね…… こんな夜の

あたしがいちばん好きだって……


月のしらべ しずかな眠り

くしけづるあなたに

ささやくのはだれ?

ふるえるあなたの指に

しのびよる妖しいあの音色は?

白いやさしい椅子

娘の脱いだ衣裳を抱き

娘がねむったそのあとも

ノクターンを奏でる椅子よ

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