2006年01月22日
動物のぞき
動物のぞき
幸田 文 著
新潮文庫
幸田流、動物園探訪・見聞の記全10話。
動物観察(平凡…)ではなく、「動物のぞき」というタイトルがおもしろいと思いました。
昭和34年に「婦人画報」で連載された作品をまとめたものです。
シートンの「動物記」を愛読した人は多いとおもう。
あの本はまことに不思議な力をもつ本である。
読みだすとたちまち、机の前も障子も火鉢もどこかへなくなって、身のまわりには平原を渓谷を岩山を感じる。
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動物園へ行ったとて、動物たちはおいそれと、自分たちの何から何までを披露してくれるわけのものではない。
二、三時間の観覧者には二、三時間を見せているだけで、しかも語ることばをもたないのである。
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(幸田 文が知り合いの飼育係長さんと猿のオラン君のところへ行ったときの会話)
<幸田 文>「おや? 係長さんが来たぞ。係長のうしろについて来るのは? ああ、例の特別参観人という厄介人種だろう。あれは実にしつこく眺めるのが好きな人種だからいやになるね、迷惑だよ」と云うように私には見える。
<飼育係長>「そこまで思うかどうか。でも、あなたがわれわれのつれの人であることは承知しているかもしれない。まあ私どもは、晩飯にはまだちと早いがな? と思ってるんじゃないかと思いますね」
類人猿・河馬と犀・熊・しこまれた動物…動物園やサーカスで暮す動物たちのことなど、見て聞いて感じたことを素直に、それでいてとても優しいまなざしで「動物のぞき」をしています。
解説に、娘の青木玉さんが書かれた、母と生きものにまつわるエピソードも楽しい。
動物園にいる“しまうま”の頭から首へかけての部分の毛が絡み合いフケが溜まっているのに気づき、ああ痒いだろうと係りの人に、私のこの持っている“柘植の櫛”は使いなれて当りが柔らかだから、あの首のところ少し掻いてやっちゃくれませんかと聞いたことなど、何度読んでも可笑しい。
係りの人は、「今までずっと“しまうま”の世話をしてきたけれど、そういうこと考える人に出会ったことがない。あそこを掻いてやると、とても喜びますが、どうしてそれが解りましたか。」と答えたということです。
猫を愛した文人たちの話しはよく聞くし、本の中にもよく登場していますが、猿や麒麟、熊、馬、虎、兎、鳥、昆虫など、こんなに愛情豊かに動物たちのことを書かれた本を読んだことがありません。
膝に乗せた猫の手を取りながら、動物園で見た虎のことなどを猫に話して聞かせたりもしていたとか。
娘さんにとって、祖父ゆずりの生きものを愛した母が書いた「動物のぞき」は、大好きな本なのだそうです。
私は子どもの頃、パンダが大好きで大好きで、あのフワフワした身体に触れてみたくて仕方ありませんでした。
しかし大人になってくると、あのかわいいパンダの目が、よく見ると意外に鋭いことに気づいたものです。
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「日本熊森協会」のホームページを見ていましたら、1月21日(土)付「今日のひとこと」に、このような記事がありました。
昨年春、新潟県朝日村にて、地元ハンターにより違法に射殺された母熊が連れていた子熊2頭が保護され、その後たくさんの方々のお力があり、現在は上野動物園に引き取られて暮しています。
上野動物園のゴリラ舎で飼育されているツキノワグマの子熊2頭の名前は、オスの「まぁ」とメスの「くぅ」。
こちらで、動物園の方に水浴びをさせてもらって遊んでいる「まぁ」と「くぅ」の動画を見ることができます。
http://www.tokyo-zoo.net/movie/mov_book/0508_03/index.html
無邪気に遊んでいる可愛らしい子熊たちを見ながらも、心の中はとても複雑な思いです。
何の罪もないのに殺されてしまった母熊のこと、こんなに小さいのに母親を奪われてしまったこの子熊たちのこと、もしあのまま山に残されていたらこの子熊たちはどうやって生きていけたのだろう、そしてこれから動物園で一生暮していくであろう「まぁ」と「くぅ」のこと。
どうかこのまま元気にすくすく育つことを願うばかりです。
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投稿者 カヨ : 2006年01月22日 16:53
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